自立支援医療とは
精神疾患は時間をかけてゆっくりと安定、改善していく疾患が多く、そのために治療には長期にわたる通院が必要になることが多くなります。
長期通院が必要となる精神疾患の患者さんの経済的な負担を軽くする目的で作られたのが「自立支援医療」です。
それぞれの患者さんの所得に応じて、異なる場合もありますが、自立支援医療の適用となると、患者さん本人の負担は基本的には1割負担になります。
などの精神疾患が適応となることが多いです。
すでに精神科・心療内科などに通院歴のある方はあらかじめクリニックまでご相談下さい。
うつ病、うつ状態のとき
ストレスや、疲労感、精神的な重圧など、様々な要因でこころが疲れ切り、元気を取り戻せない状態です。通常では、少し休めば、元通りに頑張れる状態にもどれるはずのところが、こころに強いダメージ、ストレスを受けると、通常状態に戻そうとする脳機能が低下し、元気を取り戻せなくなってしまうことがあります。
つまり「うつ状態」となってしまうと考えられています。「うつ状態」のもっと進んだ重症の状態を「うつ病」と呼んでいます。
脳内の神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンなどの低下が原因とされており、不安感や、焦燥感などから抜け出せない泥沼にはまった状態になってしまっています。
このような状態には疲れた脳を休ませる睡眠や休養が一番必要ですが、逆にイライラや、不眠状態となり、ゆっくり休むこともできないというつらい状態に陥ることが多いかもしれません。
思い切って休息をとることもうつ病の治療には必要です。ご自身の心の悲鳴に耳を傾けることも大切なのです。
実際、休養だけではなかなか、よくなってこない場合もあります。脳機能の低下(セロトニン不足)による負の感情の連鎖が原因となっているので、お薬の力を借りて、そこからの脱却の手助けをしてもらうことも選択肢の1つです。
お薬について
- SNRI、SSRIといったセロトニン、ノルアドレナリンを増やすお薬を使う場合もあります。
- 不安神経症や不眠症を合併していることも多く、睡眠剤や抗不安薬を併用する場合もあります。
- 睡眠剤の中には、ご高齢の方で緑内障や呼吸器の持病がある場合は、内服が好ましくない場合もありますので適宜ご相談ください。
- 不眠や不安に対して、マイルドに効く漢方薬なども使用する場合もあります。
- 神経過敏で高ぶるイライラに抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、柴胡加竜骨牡蛎湯などを、落ち込みが強い不安、不眠症には加味帰脾湯などを使用することもあります。
うつ病のチェックシート
① | 毎日、1日中気分が落ち込んでいる。 |
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② | 何に対しても興味がわかず、喜びを感じない。 |
③ | 食欲が低下し、体重減少が著しい。 |
④ | 眠れない、もしくは朝起きられない。 |
⑤ | 何に対してもイライラしたり、落ち着きがない。 |
⑥ | 疲れやすく、何に対してもやる気が起こらない。 |
⑦ | 自分に価値がないと感じ、自分自身を責めたくなる。 |
⑧ | 集中力が低下し、考えがまとまらない。 |
⑨ | 自分を傷つけたり、この世から消えてしまいたいと思う。 |
DSM-5によれば、①または②を含む5つ以上の症状があり、それが2週間以上続いている場合に「うつ病」と診断されることになります。
うつ病以外の病気でもうつ状態が引き起こされることがあります。
脳卒中などの脳血管障害後の後遺症や、パーキンソン病や認知症などの神経変性疾患などの症状としても見られます。
その他、膠原病(全身性エリテマトーデスなど)や糖尿病など、様々な内科的疾患(心臓・肝臓・腎臓・消化器など)でも見られます。
またステロイド剤などの薬の副作用でもうつ状態になることがあります。
うつ症状でみつかる、脳炎などの神経内科疾患の症状の1つの場合があります。
あまりに急性にうつ病、うつ状態が進行してくる場合や、精神的なきっかけもなく、急に気分が落ち込み始める場合(もしくは逆に気分が高揚しすぎる場合)など。
また、インフルエンザなどの風邪症状(新型コロナウイルス感染症も含まれます)で、高熱が出た際に、精神症状(うつ症状や逆に躁症状など)が急にでてくる場合は、脳炎などの神経内科的な治療が必要な場合もあります。
いずれにしてもうつ状態は放っておかずに、早めに相談しましょう。