本態性振戦(手のふるえ)について

手のふるえについて

字を書くとき、手がふるえる、緊張で声がふるえてしまうなど、何かをしようとするとき、緊張するようなとき、出やすくなるふるえがあります。

本態性振戦という手や頭などにふるえがでる病気があります。

ふるえの特徴は小刻みで早く、緊張などで目立つようになることがあります。

本態性というのは原因がよくわかっていないという意味ですが、緊張しやすい体質や自律神経の過敏なども関連していると言われています。

自律神経の異常として、交感神経が優位となり、手のふるえに加えて、動悸、頻脈、発汗などを伴う場合は、甲状腺機能亢進症が隠れている場合もあるので、注意しましょう。

血液検査で甲状腺ホルモンを測定し早期の診断につながることがあります。

他のふるえの原因について

甲状腺機能亢進症

のどの甲状腺が腫れ、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、動悸、イライラ、発汗過多、手の震えなどをきたします。

パーキンソン病

脳内のドーパミンが不足することで、体が硬くなり、手のふるえ(はじめは片手からが多い)、動作緩慢などをきたします。ひどい便秘や嗅覚の異常(においがわかりにくい)などで見つかる場合もあります。

パーキンソン病と本態性振戦の比較
本態性振戦パーキンソン病
発症年齢中高年、若年でも起こる中高年に多い
ふるえの場所手先(指先)、頭、声手足
ふるえの特徴動作しているとき、姿勢をとったとき安静にしているとき
書字について文字が上手に書けない。線がまっすぐ書けない。書いているうちに文字が小さくなる。
ふるえ以外の症状の特徴基本的にはなし手足の筋肉のこわばり、前かがみになり、転びやすいなど
病気の進行ほとんど進行しない。数年かけてゆっくり進行

アルコール依存症

飲酒を長期間習慣的に続けることで、依存性ができて、アルコールが切れると、手がふるえ、精神的にも不安定になります。

本態性振戦の治療について

基本的にはふるえ以外には症状を起こしてくることはないので、日常生活で支障がなければ、積極的に治療しない場合もあります。

逆に、日常生活に支障が出ていたり、ふるえを気にするあまり、外出ができなくなってしまう、人前に出られないなど、生活の質(QOL)が低下している場合は、治療の適応となります。

  • 治療は基本的にはβ遮断薬といって、高血圧症や狭心症などに使用される治療薬が保険適応となっています。
  • 交感神経の緊張、高ぶりを抑えることで、手指や、首の筋肉のへの刺激をやわらげ、ふるえが弱まると考えられています。
  • 効果には、個人差があり、すべての人に効くわけではなく、また、8割方のふるえ(頻度や、ふるえの程度)を4-5割ほどに減らすことはできても、完全にゼロにするのは難しい場合もあります。
  • 普段は気にならないけど、人に会う時だけ、ふるえを抑えたいという人にはその時だけ服用するという方法もあります。

また、場合によっては、不安や不眠、イライラなど精神的な要素がふるえに関連する場合は、抗不安薬や、抗てんかん薬、精神を鎮めるような漢方薬を使用する場合もあります。

喘息のある方、心臓病のある方などは医師に相談しましょう。

β遮断薬は喘息の方には、喘息発作を悪化させる可能性があるため、使用できません。

心臓病ですでに同様の作用の内服を服用されている方や心臓の病気によっては内服ができない場合もあります。

β遮断薬の副作用には脈拍が遅くなる徐脈があります。

普段、人の脈拍は1分間に60-80回程度が通常ですが、内服によって脈拍が低下してくると、めまいや立ちくらみ、気分不良などを起こすことがあります。1分間の脈拍が50回を下回る場合は、内服を中止し、医師に相談しましょう。

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