慢性腰痛、神経痛などに悩まされている方
6か月以上続く、腰痛、下肢痛、手足の関節の痛みなど
抗うつ剤のサインバルタカプセルというお薬が鎮痛薬としても使用されます。
適応は
- 慢性腰痛症
- 変形性関節症
- 糖尿病性神経障害
- 線維筋痛症
などですが、一般に慢性化した神経痛に効果があります。
坐骨神経痛や腰部脊柱管狭窄症、腰部椎間板ヘルニアなどによる腰痛や下肢痛なども広い意味で、慢性腰痛症の仲間に入ります。
飲み方
飲み方は通常の痛み止めが、痛いときに内服するのに対し少し特徴的で、
- 朝1回20㎎1カプセルから開始し、7日以上継続ののち、40㎎(2カプセル)に増量します。
- 40㎎で効果が出始めますが、さらに7日以上継続して60㎎(3カプセル)まで増量できます。
- 60㎎で2週間~1か月の継続で、ようやく効果が落ち着き始めます。
- 最終的に痛みが落ち着くまでには2~3か月ほどかかる場合もあり、治療にはやや根気がいります。
サインバルタについて
痛みを感じるメカニズムとして、神経細胞のセロトニン不足が言われており、セロトニンが低下した状態では、痛みを感じやすくなることが知られています。
サインバルタは、この脳内のセロトニンを段階的に増やすことで、痛みの感じやすさの閾値を上げて、同じ強さの痛みでも「不快な痛み」として感じにくくさせるのです。
ポイント
段階的というのがポイントで、通常の鎮痛薬(ロキソニン、カロナールなど)が、数時間で効いて、数時間で切れてしまうのと違い、1~3か月かけてセロトニンを補うことで、長期的に痛みを抑えてくれます。また、鎮痛薬としてサインバルタを使用する場合は、効果が安定して出始めた段階で、また段階をおって減量し、終了することもできます。しかも終了後も効果は長期間継続することが期待できます。
サインバルタの他にも慢性疼痛に使用される鎮痛薬としては、セレコキシブ(セレコックス)やロキソプロフェン(ロキソニン)などのNSAIDSと言われる鎮痛薬や、トラムセット配合錠などの弱オピオイド性鎮痛薬(ロキソニンよりも強いですが、便秘や悪心の副作用があります)などがあり、これらを組み合わせて使用する場合があります。
また個人差はありますが、サインバルタ開始時にめまいやふらつき、眠気、吐き気などの副作用が出ることがありますので、症状が出た方は速やかに申し出てください。
また人によっては、鎮痛薬の他剤の併用で逆に調子が悪くなることもありますので、何か症状がございましたら、早めに申し出てください。一番多い症状は、胃腸症状(吐き気、胃痛)、頭痛、めまいなども認めることもあります。